黒田雪子 なおす、みなおす。

お知らせ

糸績みの勉強会に行きました。
植物の長繊維を繋いで糸を作り出すことを績む(うむ)といいます。猫の毛ほどの塵のような繊維も大事に集めて使います。昔の人は皆、気が遠くなるほどの時間を経て、布を織り衣服に仕立てました。下の絵は江戸の浮世絵師、菱川師宣によるもので、私が学んだのと同じ糸績みをしている江戸の女達が描かれています。気が遠くなると書くと苦行のようですが実際はしみじみと楽しい。それに手仕事というものは本来の目的とは別に、自分の中の澱みを払ってくれると感じます。つらい事があったら、なんにも考えずに手を動かすといい。
本日、東京は雪の立春です。

糸績みの女

ku:nel  海の便り、山の贈りもの vol.66(マガジンハウス1/20発売 3月号)内の「鍋でぬくぬく」に登場しております。
そのココロは? 雪にミ◎レと、しゃれてみたくて。

http://magazineworld.jp/kunel/kunel-66/

66

草津にいます。目指すは町の共同浴場。窓から斜めに差し込む午後の光と湯けむりの作る景色は、まるでフェルメールの絵のよう。客は私を含め三人のみで、流れる湯の音以外はシンと静か。そのうち何とはなしに会話も始まります。一人はご近所、一人は埼玉から来た常連さん。二人とも口を揃えて「湯は、入る、じゃなくて、もらうって言うのよ。いただきものなの。」ああ、、おかげで胸の奥まで熱くなりました。

本日は旧暦の正月。陰暦一月の異名は、睦月(むつき)の他に、太郎月(たろうづき)、霞初月(かすみそめづき)、早緑月(さみどりづき)他、まだまだあるよう。どれもぱっと景色が浮かびます。和食に続き、日本語も無形文化遺産になればいいのに。

本居宣長に、「姿ハ似セガタク、意ハ似セ易シ」という言葉がある。
ここで姿というのは、言葉の姿のことで、言葉は真似し難いが、意味は真似し易いと言うのである。

 小林秀雄「考えるヒント」より抜粋

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